ファクタリングのメリット7選・デメリット5選|知らないと損する資金調達の選択肢

ファクタリングのメリット7選・デメリット5選|知らないと損する資金調達の選択肢

資金繰りについて、経営者であるあなたは常に頭を悩ませていることでしょう。
「月末の支払いが近いのに、売掛金の入金が間に合わない…」
「新規の大型受注があったが、仕入れ資金が足りない…」

私が銀行員だった頃、このような切実な相談を数え切れないほど受けてきました。
しかし、銀行の融資は審査に時間がかかり、赤字決算や税金の滞納があれば、その門は固く閉ざされてしまいます。
本当に資金を必要とする会社に、必要なタイミングでお金が届かない。
この現状を20年間、500社以上の企業を担当する中で目の当たりにしてきました。

そこで、今回私が元銀行員、そして現在は経営コンサルタントという立場から忖度なく解説したいのが「ファクタリング」という選択肢です。
これは、銀行融資とは全く異なる「請求書を売却して資金化する」という正当な資金調達手法です。

この記事を読めば、ファクタリングのメリットとデメリットを正確に理解し、あなたの会社にとって本当に有効な一手となり得るか、的確に判断できるようになります。
「正しい知識が、会社を危機から救う」
この信念に基づき、専門用語も私の経験を交えながら、誰よりも分かりやすく解説することをお約束します。

そもそもファクタリングとは?元銀行員が30秒で解説します

まず、ファクタリングの仕組みについて、極めてシンプルにお伝えします。
これは融資、つまり借金ではありません。

ファクタリングの仕組みは「請求書の売却」

ファクタリングとは、あなたの会社が取引先に対して持っている「請求書(売掛債権)」を、ファクタリング会社に買い取ってもらうことで、入金日よりも早く現金を手に入れるための金融サービスです。

例えば、100万円の請求書があり、入金日が2ヶ月後だとします。
この請求書をファクタリング会社に売却することで、手数料(例えば10万円)が差し引かれた90万円を、最短即日で受け取ることができるのです。

月末の支払いや、急な資金ニーズに迅速に対応できるのが最大の特徴と言えるでしょう。

「融資」との決定的な違いは“審査の対象”

ここで最も重要な点をお伝えします。
銀行融資とファクタリングでは、審査の対象が全く異なります。

銀行融資の審査対象は、お金を借りる「あなたの会社」の信用力です。
決算書の内容、財務状況、過去の返済実績などが厳しく評価されます。

一方で、ファクタリングの審査対象は、請求書の支払いを行う「取引先(売掛先)」の信用力です。
つまり、あなたの会社の経営状況が赤字であったとしても、取引先が優良企業であれば、ファクタリングを利用できる可能性は非常に高いのです。
この違いこそが、多くの経営者を救う鍵となります。

知らないと損!ファクタリングを活用する7つのメリット

銀行融資にはない、ファクタリングならではのメリットは数多く存在します。
ここでは特に重要な7つのメリットを、私の視点から解説します。

メリット1:最短即日という圧倒的なスピードで資金化できる

最大のメリットは、その圧倒的な資金化スピードです。
銀行に融資を申し込めば、審査だけで数週間、長ければ1ヶ月以上かかることも珍しくありません。

私が銀行員だった頃、「来週までにどうしても運転資金が…」という相談に対し、「審査に時間がかかるので間に合いません」と何度お伝えしたことか。
その点、ファクタリングは申し込みから入金まで最短即日、長くても数日で完了します。
このスピードは、急な資金ショートを回避する上で絶大な効果を発揮します。

メリット2:銀行融資の審査に落ちても利用できる

先ほど説明した通り、ファクタリングはあなたの会社の経営状況ではなく、売掛先の信用力を重視します。
したがって、銀行融資の審査に落ちてしまった経営者でも、利用できる可能性が十分にあります。

「もう打つ手がない」と諦める前に、検討すべき選択肢なのです。

メリット3:赤字決算・税金滞納があっても諦める必要はない

銀行は「赤字決算」や「税金の滞納」という事実を極端に嫌います。
これらは返済能力に直結すると判断されるため、融資のハードルは一気に高まります。

しかし、ファクタリングの審査では、これらの要素が決定的なマイナス要因にならないケースがほとんどです。
売掛先の支払い能力に問題がなければ、資金調達は可能です。
まさに、従来の金融の常識を覆す選択肢と言えるでしょう。

メリット4:信用情報に記録が残らない

ファクタリングは「債権の売買契約」であり、借入ではありません。
そのため、信用情報機関に利用記録が残ることは一切ありません。

これは、将来的に銀行から融資を受けたいと考えている場合に、非常に重要なポイントです。
借入金の残高が増えるわけではないので、今後の融資審査に悪影響を与える心配がないのです。

メリット5:保証人・担保は原則不要

銀行融資では、経営者自身が連帯保証人になることや、不動産を担保に入れることを求められるのが一般的です。
これは経営者にとって、精神的にも大きな負担となります。

ファクタリングでは、売却する請求書そのものが信頼の証となるため、代表者の保証や担保を必要としないケースがほとんどです。
会社の資産と個人の資産を切り離して考えられる点も、大きなメリットです。

メリット6:貸借対照表(B/S)をスリム化できる(オフバランス化)

少し専門的な話になりますが、これも重要なメリットです。
ファクタリングを利用すると、資産である「売掛金」が現金に変わります。

これは貸借対照表(B/S)上で資産が圧縮される「オフバランス化」と呼ばれ、総資産利益率(ROA)などの財務指標を改善させる効果があります。
銀行はこうした財務指標も見ていますから、結果的に企業評価の向上に繋がる可能性もあるのです。

メリット7:売掛先の倒産リスクに備えられる

もし、売掛先が倒産してしまったら、その請求書はただの紙切れになってしまいます。
これは企業にとって致命的な貸し倒れリスクです。

後ほど詳しく解説しますが、「償還請求権なし(ノンリコース)」という契約のファクタリングを利用すれば、万が一売掛先が倒産しても、あなたがファクタリング会社にお金を返す必要はありません。
つまり、貸し倒れリスクをファクタリング会社に移転できるのです。
これは、一種の保険的な役割も果たします。

必ず押さえるべきファクタリングの5つのデメリットと対策

もちろん、ファクタリングは万能ではありません。
メリットだけでなく、デメリットと、それに対する「対策」を正しく理解することが極めて重要です。

デメリット1:銀行融資に比べて手数料が割高

最も注意すべき点は、手数料です。
銀行融資の金利が年利1%~3%程度であるのに対し、ファクタリングの手数料は債権額の数%~十数%と、一見すると割高に感じます。

【対策】
これは、資金化までのスピードや貸し倒れリスクの引き受けといったサービスの対価と考えるべきです。
年利に換算すると高く見えますが、あくまで短期的な資金調達手段と割り切り、「時間をお金で買う」という経営判断が必要になります。

例えば、フリーランスや個人事業主向けに特化したペイトナーファクタリングは、手数料が一律10%と明確で、最短10分での資金化を実現しています。
少額(1万円〜)から利用できるため、急な外注費や機材トラブルなど、小規模事業者の緊急資金ニーズに適しています。
実際の利用者の声については、ペイトナーの口コミ・評判で詳しく解説されています。 複数の会社から見積もりを取り、相場感を把握することが不可欠です。

デメリット2:売掛債権の金額以上の資金調達はできない

ファクタリングは、あくまで保有している請求書の範囲内で行う資金調達です。
100万円の請求書で、150万円を調達することは当然できません。

【対策】
大規模な設備投資など、自己資金を大きく超える資金調達には不向きです。
あくまで、売掛金の早期回収によるキャッシュフロー改善策と位置づけ、必要な資金額と保有する売掛債権額のバランスを常に把握しておくべきです。

デメリット3:売掛先に知られ、関係性が悪化する可能性(3社間)

ファクタリングには、後述する「3社間ファクタリング」という方式があります。
これは手数料が安い反面、売掛先にファクタリングの利用を知られてしまいます。
その結果、「この会社は資金繰りが厳しいのではないか」と懸念され、今後の取引に影響が出る可能性はゼロではありません。

【対策】
売掛先に知られたくない場合は、手数料が少し高くなっても「2社間ファクタリング」を選択すべきです。
これはあなたの会社とファクタリング会社だけで契約が完結するため、売掛先に通知されることはありません。

デメリット4:残念ながら悪質な業者が存在する

ファクタリング業界は法整備が追い付いていない側面もあり、残念ながら法外な手数料を請求する悪質な業者が存在します。
実態はファクタリングを装った違法な貸金業(ヤミ金)であるケースもあるため、業者選びは慎重に行わなければなりません。

【対策】
会社の所在地、代表者名、連絡先が明確であることは大前提です。
契約内容を曖昧にしたり、極端に安い手数料を提示してきたりする業者には注意が必要です。
複数の信頼できる会社を比較検討し、契約書の内容を隅々まで確認する姿勢が求められます。

デメリット5:債権譲渡登記が必要になるケースがある

「2社間ファクタリング」を利用する際に、「債権譲渡登記」を求められることがあります。
これは、その請求書(債権)を確かにファクタリング会社に譲渡したことを法的に証明するための手続きです。
登記には手間と費用(司法書士への報酬など)がかかります。

【対策】
登記が必要かどうか、その費用はどちらが負担するのかを、契約前に必ず確認してください。
近年では、登記不要のファクタリングサービスも増えていますので、そうした選択肢も視野に入れると良いでしょう。

あなたの会社はどっち?2つの主要なファクタリングを徹底比較

ファクタリングには、主に「2社間」と「3社間」の2つの方式があります。
あなたの会社の状況によって、どちらを選ぶべきかは明確に異なります。

【2社間ファクタリング】取引先に知られず、スピーディーに

これは、「あなたの会社」と「ファクタリング会社」の2社間で完結する契約です。
売掛先に通知が行かないため、取引関係に影響を与える心配がありません。
また、手続きがシンプルなため、資金化までのスピードが速いのが特徴です。
ただし、ファクタリング会社にとっては債権の未回収リスクが高まるため、手数料は割高になる傾向があります。

【3社間ファクタリング】手数料を安く抑えたいなら

こちらは、「あなたの会社」「ファクタリング会社」「売掛先」の3社間で手続きを行います。
売掛先に対して、債権を譲渡したことの通知・承諾を得る必要があります。
ファクタリング会社は売掛先から直接支払いを受けられるため、リスクが低減され、手数料を安く抑えることができます。
一方で、資金化までに時間がかかり、売掛先の協力が必要不可欠です。

ケース別に見る最適なファクタリングの選び方

両者の特徴を以下の表にまとめます。

項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
関係者あなたの会社、ファクタリング会社あなたの会社、ファクタリング会社、売掛先
売掛先への通知不要必要
資金化スピード速い(最短即日)やや時間がかかる(数日〜)
手数料高い(8%〜18%程度)安い(1%〜5%程度)
おすすめのケース・とにかく早く資金が必要
・売掛先に知られたくない
・手数料を少しでも抑えたい
・売掛先の理解を得られる

あなたの会社がどちらを優先すべきか、この表を基に冷静に判断してください。

ファクタリング利用で失敗しないための3つの最終チェックポイント

最後に、ファクタリング会社と契約する直前に、必ず確認すべき3つのポイントをお伝えします。
これを知っているだけで、不要なトラブルを未然に防ぐことができます。

注意点1:手数料の内訳は明確か?

提示された手数料に、登記費用や印紙代、交通費などの諸経費がすべて含まれているかを確認すべきです。
「手数料5%」と聞いて契約したら、後から様々な費用を請求され、最終的な手取り額が想定より大幅に少なくなった、というケースは後を絶ちません。
見積書に記載されている手数料の内訳を、必ず詳細に確認してください。

注意点2:契約書に「償還請求権なし」と明記されているか?

これは絶対に譲れない、最重要項目です。
「償還請求権なし」とは、万が一売掛先が倒産した場合でも、あなたがファクタリング会社にお金を返す義務がない、という意味です。
これが「償還請求権あり」の契約だと、実質的には売掛債権を担保にした融資と変わらず、貸し倒れリスクをあなたが負うことになります。

契約書に「償還請求権なし」または「ノンリコース」という文言が明記されていることを、必ずその目で確認してください。

注意点3:そのファクタリング会社は信頼できるか?

会社のウェブサイトを見て、実績や顧客の声を確認しましょう。
担当者の対応は丁寧か、あなたの質問に的確に答えてくれるか、といった点も重要な判断材料です。
複数の会社とコンタクトを取り、最も信頼できると感じたパートナーを選ぶべきです。
あなたの会社の命運を預けるのですから、妥協は許されません。

まとめ:ファクタリングは、正しい知識で使えば最強の武器になる

今回は、元銀行員という立場からファクタリングについて徹底的に解説しました。
最後に、この記事の要点をまとめます。

  • ファクタリングは、借金ではなく「請求書の売却」である。
  • あなたの会社の信用力ではなく、「売掛先の信用力」が重視される。
  • 圧倒的な資金化スピードと、赤字でも利用できる柔軟性が最大のメリット。
  • 手数料の高さや悪質業者の存在といったデメリットも必ず認識すべき。
  • 自社の状況に合わせ、「2社間」と「3社間」を適切に選ぶ必要がある。
  • 契約前には「手数料の内訳」と「償還請求権の有無」を必ず確認する。

ファクタリングは、諸刃の剣です。
正しい知識を持って計画的に利用すれば、会社の危機を救う強力な武器となります。
しかし、安易に利用すれば、高い手数料によってかえって資金繰りを悪化させるリスクも孕んでいます。

かつての私のように、規則に縛られあなたの会社を救えない金融機関もあります。
しかし、今は多様な選択肢が存在する時代です。
この記事が、あなたが情報弱者になることなく、自社にとって最適な経営判断を下すための一助となれば、これに勝る喜びはありません。

あなたの会社の未来を、心から応援しています。