ファクタリングの審査は甘い?審査通過率をグッと上げる3つのポイント

ファクタリングの審査は甘い?審査通過率をグッと上げる3つのポイント

「ファクタリングの審査は甘い」という言葉。

資金繰りに悩む経営者の方であれば、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、元銀行員として500社以上の中小企業と向き合ってきた私から言わせれば、この言葉は半分正しく、半分は危険な誤解を招く可能性があります。

こんにちは。
中小企業経営コンサルタントの坂本です。

私はかつて地方銀行に20年間勤務し、法人融資担当として数多くの企業の融資審査に関わってきました。
だからこそ、銀行の審査がいかに厳格か、そして、本当に資金を必要とする会社に届かない現状があることも痛感しています。

この言葉を鵜呑みにして安易に申し込んだ結果、審査に落ちて貴重な時間を無駄にしてしまったり、想定外に高い手数料を取られてしまったりする経営者を、私は何人も見てきました。

重要なのは、「甘い」という言葉の表面的な意味に踊らされることではありません。
ファクタリング会社が、銀行とは全く異なる「どの部分」を「どのように」見ているのかを正確に理解することです。

この記事では、元銀行員だからこそ語れる融資審査の裏側と対比させながら、ファクタリング審査の「本当のところ」を徹底的に解説します。

この記事を最後まで読めば、あなたはファクタリング審査の本質を理解し、審査通過率を飛躍的に高めるための具体的な3つのポイントを確実に手に入れることができるでしょう。

【結論】ファクタリングの審査は「甘い」のではなく「見ている場所」が違う

多くの経営者が勘違いしている点ですが、ファクタリングの審査は決して「甘い」わけではありません。
正しくは、銀行融資とは評価の尺度が全く異なるのです。

この根本的な違いを理解することが、審査通過への第一歩となります。

銀行融資との決定的な違い:あなたの会社の「未来」ではなく、取引先の「今」を見る

銀行が融資を行う際に最も重視するのは、申込企業の「返済能力」です。

決算書や事業計画書を精査し、「この会社は将来にわたって、きちんと利益を出し、元本と利息を支払い続けることができるのか?」という未来の可能性を評価します。
だからこそ、赤字決算や税金の滞納、債務超過といった状況は、「未来の返済能力に著しい懸念がある」と判断され、審査のテーブルにすら乗らないことがほとんどなのです。

一方で、ファクタリング会社が最も重視するのは、「売掛金の回収可能性」です。
つまり、あなたの会社そのものの状況よりも、売掛金を支払う「取引先(売掛先)の信用力」が審査の主役となります。

彼らの関心は、「この売掛金は、期日通りにきちんと入金されるのか?」という一点にあります。
あなたの会社が赤字であっても、売掛先が上場企業や官公庁のような支払い能力の高い相手であれば、売掛金の回収可能性は高いと判断され、審査に通る可能性が十分にあるのです。

銀行融資:あなたの会社の「未来」を評価する
ファクタリング:売掛先の「今」を評価する

この視点の違いこそが、ファクタリング審査の全てと言っても過言ではありません。

元銀行員が語る、融資審査の裏側と中小企業が直面する壁

私が銀行員だった頃、担保や保証人がなければ融資の稟議がなかなか通らないという現実がありました。
特に中小企業は、将来性が有望であっても、目先の決算書の数字だけで判断されがちです。

「この技術があれば会社は伸びるのに」「あと少しの運転資金があれば黒字化できるのに」
そんな将来性のある会社でも、過去の数字が悪ければ「返済能力なし」の烙印を押され、資金調達の道を絶たれてしまう。
このジレンマが、私を独立へと駆り立てた一因でもあります。

銀行は、預金者から預かった大切なお金を貸し出すという立場上、どうしても評価基準が保守的にならざるを得ないのです。

なぜファクタリングは赤字決算でも利用できるのか?その仕組みを徹底解説

ファクタリングは、あなたの会社が銀行からお金を「借りる」融資(負債)ではありません。
あなたの会社が持つ「売掛金(資産)」をファクタリング会社に「売却」する取引です。

例えるなら、まだ手元にない来月の給料の一部を、手数料を支払って先に現金化してもらうイメージに近いかもしれません。
あくまで資産の売買なので、あなたの会社の経営状況が直接的な審査の障害になりにくいのです。

これが、赤字決算、税金滞納、債務超過といった状況でもファクタリングを利用できる最大の理由です。
銀行の扉が閉ざされたとしても、まだ打つ手はあるということを覚えておいてください。

データで見るファクタリング審査の現実と通過率

では、実際のところ、ファクタリングの審査通過率はどのくらいなのでしょうか。
ここでは客観的なデータと、コンサルティングの現場で見てきた実態についてお話しします。

一般的な審査通過率は70%前後。しかし数字に一喜一憂すべきではない理由

一般的に、ファクタリングの審査通過率は70%前後と言われています。
中には、審査通過率90%以上を謳うファクタリング会社も存在します。

銀行の融資審査と比べれば、これは驚異的に高い数字と言えるでしょう。
しかし、この数字だけを見て「どの会社でも簡単に通る」と考えるのは早計です。

審査通過率が高い会社は、その分手数料を高く設定してリスクをカバーしていたり、特定の業種や債権に特化して申込者を絞っていたりするケースも少なくありません。
大切なのは、自社の状況に合ったファクタリング会社を正しく選ぶことです。
通過率の高さだけで安易に選ぶべきではありません。

2社間と3社間でこれだけ違う!審査難易度と手数料の関係性

ファクタリングには、大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があり、どちらを選ぶかによって審査難易度と手数料が大きく変わります。

種類特徴審査難易度手数料
2社間あなたとファクタリング会社の2社間での取引。売掛先に知られない。やや高い高い(8%~18%)
3社間あなた、ファクタリング会社、売掛先の3社間での取引。売掛先の承諾が必要。やや低い低い(1%~5%)

3社間ファクタリングは、売掛先に債権譲渡の承諾を得るため、ファクタリング会社にとって「債権が確実に存在し、回収できる」という裏付けが取れます。
そのため、未回収リスクが低いと判断され、審査に通りやすく、手数料も安くなるのです。

一方で、売掛先に資金繰りの状況を知られたくない場合は、2社間ファクタリングを選択することになりますが、その分、審査は慎重になり手数料も割高になることを理解しておく必要があります。

私がコンサルで見てきた「審査に通りやすい会社」の共通点

私がこれまでサポートしてきた中で、ファクタリング審査がスムーズに進む会社にはいくつかの共通点があります。

それは、自社の状況を良く見せようと嘘をついたり、情報を隠したりしないことです。
むしろ、自社の課題(なぜ赤字なのか、今後の改善策は何かなど)を正直に伝え、その上で「この売掛金は確実に回収できる」という点を、客観的な資料に基づいて論理的に説明できる会社です。

誠実な態度は、ファクタリング会社の信頼を得るための重要な要素なのです。

審査通過率をグッと上げる3つの最重要ポイント

さて、ここからが本題です。
ファクタリングの審査通過率を飛躍的に高めるために、あなたが今すぐ準備すべき3つの最重要ポイントを解説します。
これは私が銀行員時代、そしてコンサルタントとして常に経営者に伝えている核となる部分です。

ポイント1:『売掛先の信用力』を客観的資料で証明する技術

前述の通り、審査の主役は「売掛先」です。
したがって、「私の取引先は、これだけ信用できる会社です」ということを、あなたの言葉ではなく、客観的な資料で証明する必要があります。

例えば、以下のような情報です。

  • 売掛先の企業規模や業績が分かる資料(公式サイトの会社概要や帝国データバンクの評価など)
  • 過去の取引実績(長年にわたる継続的な取引がある、常に期日通りに入金されているなど)
  • 売掛先が上場企業や官公庁である場合は、その事実を明確に伝える

「〇〇株式会社は東証プライム上場企業です」「市役所との取引なので支払いが滞る心配はありません」
このように、誰が見ても支払い能力に疑いがないと判断できる売掛債権を申し込むことが、審査通過への最大の近道です。

ポイント2:『売掛債権の信頼性』を揺るぎないものにするエビデンス一式

次に重要なのが、「その売掛金が間違いなく存在する」という事実を証明することです。
口約束だけでは、ファクタリング会社は信用してくれません。

以下のエビデンス(証拠)一式を、不備なく完璧に揃えることが求められます。

  1. 契約書や発注書:取引の基本となる契約内容が明記された書類
  2. 納品書や検収書:商品やサービスを確かに提供したことを証明する書類
  3. 請求書:確定した債権額を証明する最も重要な書類

これらの書類が揃っていれば、「確かに取引が行われ、これだけの金額の債権が存在する」という事実が確定します。
逆に、一つでも欠けていたり、内容に矛盾があったりすると、債権の存在自体を疑われ、審査に落ちる原因となります。

ポイント3:意外と見られている『申込者自身の信頼性』を示すための作法

ファクタリング会社は売掛先の信用力を最も重視しますが、申込者であるあなたの信頼性を全く見ていないわけではありません。
特に、架空の債権を申請したり、同じ債権を複数のファクタリング会社に申し込んだりする「二重譲渡」を最も警戒しています。

そのため、担当者との面談や電話でのやり取りを通じて、経営者としてのあなたの人となりを見ています。
以下の点を心がけるだけで、担当者に与える心証は大きく変わります。

  • 質問には正直かつ迅速に回答する
  • 必要書類は言われる前に準備し、速やかに提出する
  • 自社の状況(資金が必要な理由など)を誠実に説明する

横柄な態度を取ったり、説明が二転三転したりする経営者は、それだけで「何か隠しているのではないか?」と疑いの目で見られてしまいます。
紳士的な対応を心がけましょう。

これは一発NG!元銀行員が見た、審査に落ちる経営者の典型例

最後に、私が銀行員時代から見てきた中で、「これは審査に通らない」と感じる典型的なパターンをいくつか紹介します。
反面教師として、絶対に当てはまらないように注意してください。

売掛先や債権に問題があるケース(信用不安、個人事業主、長期サイトなど)

言うまでもありませんが、売掛先の経営状況が著しく悪い場合や、設立間もない企業である場合は審査に通りません。

また、売掛先が「個人事業主」の場合も、法人に比べて信用力が低いと見なされ、審査が厳しくなる傾向があります。

さらに、支払いサイト(請求から入金までの期間)が長すぎる債権も敬遠されます。
期間が長くなるほど、その間に売掛先が倒産するリスクが高まるからです。
一般的に、60日を超えるような長期の支払いサイトは審査に通りにくいとされています。

提出書類に不備がある、または説明が曖昧なケース

ポイント2でも触れましたが、提出書類の不備は致命的です。
請求書の日付や金額が契約書と異なっている、必要な印鑑が押されていないなど、基本的なミスがないか何度も確認すべきです。

また、面談時に「なぜこの資金が必要なのですか?」と問われ、「いや、ちょっと運転資金が…」といったように曖昧な回答しかできない経営者も信頼されません。
資金使途を明確に説明できない=経営計画が杜撰、と見なされてしまうのです。

絶対にやってはいけない「二重譲渡」のリスク

これは「一発NG」どころか、詐欺罪に問われる可能性のある絶対にやってはいけない行為です。

一つの売掛債権を、複数のファクタリング会社に売却して資金を騙し取ろうとすること。
これが「二重譲渡」です。

ファクタリング会社は、債権譲渡登記の確認や業者間での情報交換などを通じて、二重譲渡を厳しくチェックしています。
追い詰められた状況であっても、絶対に手を出してはいけません。
会社の信用を全て失うことになります。

まとめ:ファクタリング審査を制する鍵は「正しい理解」と「誠実な準備」にある

今回は、「ファクタリングの審査は甘いのか」というテーマについて、元銀行員の視点から詳しく解説してきました。
最後に、この記事の要点をまとめます。

  • ファクタリング審査は「甘い」のではなく、銀行融資と「見ている場所」が違う
  • 銀行は申込企業の「未来」を、ファクタリングは売掛先の「今」を評価する
  • 審査通過率を高めるには、3つのポイント(売掛先の信用力、債権の信頼性、申込者の信頼性)が不可欠
  • 客観的な資料(エビデンス)を完璧に揃え、誠実な態度で臨むことが重要
  • 書類の不備や二重譲渡のような行為は、信用を失う一発NG行為である

ファクタリングは、銀行融資とは異なるルールで動く、全く別の資金調達手法です。
そのルールを正しく理解し、求められているものを正確に準備し、誠実に対応する。
審査通過の鍵は、結局のところ、この基本動作の徹底に尽きます。

資金繰りは経営者の孤独な戦いかもしれません。
しかし、正しい知識は、あなたを危機から救う強力な武器となります。

この記事が、あなたの会社の未来を切り拓く一助となれば、これほど嬉しいことはありません。